レモンの残留農薬の危険性

健康に良い果物と言えば真っ先に思い浮かぶビタミンCたっぷりのイメージのレモンですが、実は残留農薬の心配をすべき果物としても有名です。健康に良い成分たっぷりのレモンを安心して食べるためにはどのようなことに注意したら良いのでしょうか。

ここでは、レモンの残留農薬に注目し、安全にレモンを取り入れる方法を考えてみましょう。

「残留農薬についてのバリデーションされた評価試験法が食の安全と人々の健康を守る」

残留農薬は輸入のレモンに注意

スーパーマーケットのレモンに、「イマザリル」や「OPP」や「TBZ」といった表示を見たことはないでしょうか。これらはすべて使用されている農薬の表記です。特に「イマザリル」はレモンに良く使われている防かび剤で、「OPP」、「TBZ」とともに発がん性の疑いが指摘されています。

もともとこれらの農薬は、農薬として使われていたものを、輸送の際のカビを防ぐ防かび剤として、直接収穫後のレモンに散布することを認可したものです。これをポストハーベストといいます。このポストハーベストが、レモンをはじめとする主に柑橘類で問題となっているのです。

輸送にそれほど時間がかからないため、国産のレモンにはこれらの防かび剤は使用されていません。輸入レモンに注意が必要なのはこのためなのです。

ポストハーベストの危険性について

カナダやオーストラリアでは、収穫前と収穫後での農薬の残留度合いを区別せず、消費の段階で最終的に残留している農薬を規制しています。一方アメリカでは、ポストハーベストの際の残留農薬の基準を定めています。日本はというと、厚生労働省が残留農薬基準が設定されていない農薬についての規制を設けていて、規定量以上の残留農薬を含む農作物は流通させないという立場をとっています。

つまり、ポストハーベストであっても、健康に影響がないよう、残留基準値によってコントロールされていることになっているのです。

防かび剤の怖さ

動物実験では、イマザリルは神経行動毒性を持っていることがわかりました。その致死量は20グラムとされています。また、OPP(オルトフェニルフェノール)を含むエサを食べさせたラットの83パーセントに膀胱がんが発生し、TBZ(チアベンダゾール)を毎日経口投与されたマウスの胎児には催奇形性が認められました。

これらイマザリル、OPP、TBZについては、使用されているレモンには、表示があるシールが貼られていますが、このほかにも、ピリメタニル、フルジオキソニル、アゾキシストロビンなどの防かび剤が毎年検出されています。

防かび剤は食品添加物?

イマザリルはエニルコナゾールという物質で、日本では食品添加物として扱われています。ワックス液と一緒にレモンの表面に防かび処理がされます。OPPは、オルトフェニルフェノールのことで、日本では農薬として使われていたものが、現在はかんきつ類の食品添加物として認可されており、TBZ、チアベンダゾールは、農薬としても食品添加物としても使用されています。

つまり、日本において防かび剤として使用されているこれらは、もはや「残留農薬」ではなく「食品添加物」なのです。防かび剤としての用途の食品添加物は、食品衛生法により規制されていますが、その認可の経緯には1970年代のアメリカとの貿易上の問題が関わっています。

当時日本では使用が許可されていなかったポストハーベスト農薬の防かび剤が米国産レモンから検出されたことにより、日本は米国レモンを大量廃棄し、米国レモンの輸入をしないよう警告をだしました。しかし、アメリカ側は日本の自動車の輸出に制限をかけ「日米貿易戦争」にまで発展してしまったのです。

日本は結局アメリカに屈するかたちで防かび剤を農薬ではなく「食品添加物」として認可し残留農薬の不安のあるレモンが流通するに至っています。

日本は危険な農薬を規制ではなく緩和する傾向にある?

柑橘類の防かび剤を食品添加物として認可した日本では、世界的に規制の傾向にある除草剤についても、厚生労働省がその基準を緩和しています。WHO世界保健機関が発がん性を認めたラウンドアップという除草剤は、その使用によりがんを発症した男性が製造元を訴えたことにより、世界では使用が規制される傾向にあります。

にもかかわらず、日本ではアメリカの圧力によってか、その基準を大幅に緩和しています。現代の日本では、国により安全が保障され、危険な食べ物が外国から入ってくるとは思わず、無防備に生活している人がほとんどです。

しかし政治的な勢力を背景に、私たちの知らないうちに安全でないものが流通している事実があることを知っておかなければなりません。

レモンだけではない防かび剤の農薬から食品添加物へのうごき

レモンをはじめ、柑橘類についてのポストハーベストについての危険性は広く知られているところですが、それまで農薬としていたものを「食品添加物」として許可するうごきは、その使用が柑橘類に限られていた「フルジアキソニル」がキウイやももに食品添加物として使用できることとなったり、「ピリメタニル」をももやリンゴに対して使用することが認められたりしています。

注意しなければならないのは、柑橘類だけではありません。

残留農薬の落とし方

それでは、レモンについた残留農薬である防かび剤はどのように落としたら良いのでしょうか。レモンの処理の仕方によって大幅に減らすことができます。①皮をむくポストハーベストは、直接皮にワックスとして表面に付着してしているので、残留農薬は皮に多いと思われます。

輸入のレモンを使用する場合には、皮をむくとおおかたの残留農薬落とせます。

注意しなければならないのは、ナイフや手に付着した農薬成分です。皮に触れたナイフや手で果肉に触れないよう気をつけましょう。なお、果汁だけを利用する場合でも皮のついたままの輸入レモンを絞るときには、皮の精油成分と一緒に果汁にも農薬成分が混入してしまうので心配な場合は先に皮をむいて使うのがお勧めです。

②茹でこぼすレモンの皮をどうしても使いたい場合は、茹でこぼすのがおすすめです。ワックス剤と一緒にコーティングされている農薬の成分は、水に溶けにくく、普通の水洗いでは落とせません。③アルコールでゴシゴシこする

皮を使うとなると、茹でこぼし処理だけでは不安という方もいるでしょう。その場合は、茹でこぼした後にもうひと手間、アルコールを染みこませたペーパータオルなどで表面をゴシゴシ拭いてください。ワックス剤と一緒に残留農薬もかなり落とすことができます。

農薬を心配するなら国産レモンを使うのが安心

防かび剤の害が心配な輸入レモンですが、レモンには健康効果がたくさんあります。心配な防かび剤は特に皮に多いので、果肉だけを使う場合には輸入のレモンを使い、皮ごと使う場合には国産のレモンを選ぶなど使い分けるようにすると良いでしょう。

安全なものだけが流通していると思い込んでいては食の安全は守れません。食品添加物という名の残留農薬の危険性を知って賢く使い分けましょう。